【SONY RX0 II レビュー】子連れ散歩に嬉しい超小型デジカメ。GoProとの違いは?ジンバルは必要?
こんにちは。荷物のミニマム化を進めるヨッシーです。
今日は2019年4月にSONYから発売された超小型カメラ「RX0 II」を紹介したいと思います。
SONY「RX0 II」ってどんなカメラ?
SONY「RX0 II」は2019年4月に発売されて一時的に品薄にもなった超小型のデジタルスチルカメラです。
発売日に注文した僕も手元に届くまで2ヶ月弱かかりました。
SONYのSyberShotシリーズに分類されるカメラで初代に当たる前機種「RX0」の後継機に当たります。もともとその超コンパクトな筺体とその描写力の高さから一部で人気のあった前機種がより進化したイメージです。
ビデオ機能も強化されているので、SONYサイドも人気のYouTuberにレビューを依頼して宣伝している商品になります。
外観
その外観・質感はまさに高級コンデジ
非常にすっきりとしたデザインで、金属製の丈夫な筐体です。高級感があり、その質感は所有欲をがっつり満たしてくれること間違いなしです。
高いデザイン性だけでなく、防水・防塵・耐衝撃の質実剛健ボディ
デザインはとても良いですが実用性も高く、10m防水・防塵、2.0m耐衝撃、200kgf耐荷重性能を持ち合わせています。液晶モニターを角度調整した状態でも、防水・防塵性能は保たれるので海や山でのアウトドアなどハードな使用状況でも問題なしです。
「RX0 II」はアクションカムではなくデジタルスチルカメラ
あ〜!!パパ、この前GoPro買ったばかりなのにまた新しいGoPro買ってる!
ママ、違うよ。落ち着いて!これはGoProじゃなくてSONYから発売された新しいデジタルスチルカメラ、つまりデジカメなんだ。
よくわからないし、結局また新しいカメラ買ってるし…
これからちゃんと説明するから…聞いてね。
GoProと比較されがちなRX0 II。実は似て非なるもの。
サイズ感や使用目的が近いため、RX0 IIはアクションカムと呼ばれてしまうことがあるのですが、SONYは「アクションカムではなく、あくまで動画撮影もできるデジタルスチルカメラ」という位置付けにこだわっています。
以下に簡単な表を作ってみました。
RX0 | RX0 II | GoPro HERO7 Black | |
---|---|---|---|
センサータイプ | 1.0型 Exmor RS CMOSセンサー | 1/2.3型CMOSセンサー (非公式情報) | |
有効画素数 | 約1530万画素 | 1200万画素 | |
F値 | F4.0 | 不明 | |
最短撮影距離 | 約50cm | 約20cm | 不明 |
手ぶれ補正機能 | – | 電子式 | 電子式 HyperSmooth |
動画撮影モード | フルHD 60p | 4K 30p | 4K 60p |
動画撮影時間 | 最大60分 | 最大90分 | |
外形寸法 (幅×高さ×奥行) | 59.0×40.5×29.8mm | 59.0×40.5×35.0mm | 62.3×44.9×33.0mm |
重量 | 95g | 117g | 116g |
RX0 IIの強み、それはやはり写真が綺麗に撮れること。
RX0 IIの最大の特徴はやはりこのコンパクトな筐体にも関わらず、1.0型のCMOSセンサーを採用している点です。
デジタルカメラを選ぶときに画素数に注目されがちですが、実はセンサーサイズも重要な要素です。一般的にセンサーサイズが大きほうが綺麗な静止画や映像が撮れます。詳しい説明は割愛しますが、簡単に言うと「センサーサイズが大きいほうがより光を多く取り入れることができ、より多くの情報を取り入れることができる」ということです。その結果、以下のメリットが得られます。
- 階調豊かな色彩を表現できる
- 暗い場所でもノイズを少なくできる
- 明るい色から暗い色まで再現できる(白とび・黒つぶれしにくい)
この点でRX0 IIはセンサーサイズが1/1.7型や1/2.3型と言われるGoProやスマホに優っています。実際に写真を見ていただくと、自然で繊細な描写を感じていただけると思います。
動画も撮れます。
そしてRX0 IIは人気YouTuberにレビュー依頼をしているほど動画に力を入れています。センサーサイズも影響して、動画の表現力も高いです。4K30pまで対応しています。
大いなる問題点…それは動画撮影時のフォーカス。
すごいね。でもそれならもうGoProは要らないよね?
確かに発売前は「最強のGoProキラー」とまで言われた商品なんだ。でも…
実は、このRX0 IIは機能上、動画撮影時にフォーカスに関する問題点を抱えているんです。それは 「AF-C(コンティニュアス−オートフォーカス)やパンフォーカスではない」ということ。
どういうことかと言うと…例えばiPhoneやGoProで子どもや犬など動いている被写体を撮影するとします。
皆さん、意識はされていないと思いますが、iPhoneなどで撮りたい対象物が「ボケてピントが合わない」なんて経験はほぼ無いと思います。それはiPhone側が幅広い範囲でピントを合わせてくれているので画面に映るもの全てにピントが合っている(パンフォーカス)の状態です。
背景をぼかした映画のような映像を撮ることはできない代わりに、誰にでも簡単にピントの合った映像が撮れるのです。
そしてRX0 IIはこの「常にピントの合った状態を自動で作ってくれる機能がない」ということが動画撮影上、大きな問題となります。ではRX0 IIではどのようなフォーカスが使えるのでしょうか。
RX0 IIのフォーカスは3種類
RX0 IIで使えるフォーカスは3種類、公式HPの説明は以下の通りです。
①プリセットフォーカス(PF)
広い範囲で良好な解像度が得られるピント位置で固定されます(スタンダード)。細かなフォーカス操作を気にせず撮影することができます。また、自分撮りなど被写体までの距離が約50cmから1m以内と近い撮影に最適な「NEARモード」を用意しています。
②マニュアルフォーカス(MF)
手動で精緻にピントを合わせられます。被写体との距離が最短撮影距離約20cmに近い場合など、シビアなピント合わせが必要な場面に便利です。ワンプッシュAFを使えば、自動で被写体付近にすばやくピントを合わせてからマニュアルフォーカスで細かくピント合わせができるので効率的です。
③シングルAF(AF-S)
シャッターボタンを半押しするだけで被写体にピントを合わせられます。遠景の風景を撮影したいときなどに便利です。
全く意味がわからない…
じゃ、じゃあ、僕なりに噛み砕いてみるよ。
①プリセットフォーカス(PF)
被写体(例えば犬や子ども)そのものではなく一定の広さ・奥行きの空間にピントを合わせて撮影する。被写体までの距離が約50cmから1m以内の「NEARモード」、それ以上遠くの「スタンダードモード」の2種類のピント空間がある。その空間の中にいれば動いていてもピントが合うが、その空間から外れるとピントが合わない=ボケる。RX0 IIのフォーカスの中では、いちばん動いている被写体を動画撮影に向いているフォーカスだが、パンフォーカスやAFCが一般的な中では非常に扱いづらい。
②マニュアルフォーカス(MF)
撮影前に手動でピントを合わせる。被写体との距離が最短撮影距離約20cmに近い場合など、シビアなピント合わせが必要な場面に使う。ワンプッシュAF機能を使い、大まかに被写体付近にピントを合わせてからマニュアルフォーカスで微調整をする。ピント合わせに時間がかかる。ピントを合わせた距離から外れた場合、ピントが合わない=ボケる。そのため動いている被写体を撮影することは非常に難しい。
③シングルAF(AF-S)
シャッターボタンを半押し、オートで被写体にピントを合わせた後、グッとシャッターボタンを押し込んで撮影スタート。通常のカメラのピント合わせ。ピント合わせ自体は素早く簡単。しかし一度合わせたピントは撮影中は変更できないので、ピントを合わせた距離から外れた場合、ピントが合わない=ボケる。そのため動いている被写体を撮影することは非常に難しい。
とは言え、動画撮影も意外といける。
ここまで見てみるとRX0 IIの動画撮影の特徴は…
①このサイズ間の中ではセンサーサイズが大きく繊細で綺麗な動画が撮影できる。
②ピントを合わせることが難しく動いている被写体の撮影は難しい。
と言うことになります。なので、例えば定点撮影で使用するなどシビアなピント合わせが必要ない場合などは活用機会はあると思いますが、残念ながら子どもの成長記録には現状向いていないと言わざるを得ません。
その後、何度かRX0 IIで動画を撮影してみましたが、あまりフォーカスを意識せずに、簡単にピントのあった綺麗な映像を撮ることができました。
上の映像は、RX0 IIに防水ジンバルFeiyuTech G6で手ブレを抑えた映像になります。
僕にとっては単体では少し弱く感じる手ぶれ補正の方が問題です。
手ぶれ補正は少し物足りない
本体の手ぶれ補正はGoProの手ぶれ補正に慣れてしまうと物足りなく感じます。SONYとしては公式に「撮影した動画をスマホに転送し、編集アプリ『Movie Edge add-on』で手ぶれ補正をかける」ことを勧めています。
しかし、これはとても手間で、4Kでの出力もできなくなってしまいます。さらには手ぶれ補正を掛ける際の処理で画角が狭くなり、四隅の映像が削られてしまいます。
以下は検証動画です。
なので、強力なジンバルを持っている場合はメインの動画機となりうる力を持っている、と言えます。
ちなみにオススメのジンバルは「FeiyuTech G6」です。
今後のアップデートで「神機」となれるのか?
使用を重ねる中で、僕にとってはほとんど問題のない動画機になりました。
とは言え、GoProのようなパンフォーカスの方が使い勝手が良く万人ウケするのは確かです。
このフォーカス問題の原因がハード面にあるのであれば、改善することは無いと思います。しかし、ソフト的な問題であれば今後の改善はあるのかもしれません。
もともと描写力は高いので、もし今後、フォーカス問題が改善された時は「神機」「GoProキラー」として改めて評価されるのでは無いでしょうか?
そして2019年12月にフォーカス関係のアップデートが発表されました。
【動画記録中のAF-S機能の追加】
・機能をONにして、動画記録中にシャッターボタンを半押しするとオートフォーカス(AF-S)が作動します。その際オートフォーカスの動作音と画角の変動が生じ、記録されます。動作音については外部マイクで軽減できる場合があります。
・ワイヤレスリモートコマンダーRMT-P1BTから本機能をご利用になる場合は、カメラ本体を動画モードにし、リモートコマンダーのMOVIE/STILLスイッチを「STILL」の位置に合わせてご使用ください。
SONY公式HPより
このアップデートにより、動画記録中のフォーカスの変更が可能になりました。ピントを合わせたいときにはその都度、シャッターボタンを半押しする必要があります。
ただ、フォーカスの動作音と画角の変動が記録されてしまう、とのことなので正直、「あまり使わない」と思います。
そしてこのアップデートで感じたのは、「構造上の限界がある」ということ。今後はフォーカス関係の大きな改善はない気がします。
とはいえ、描写力やコンパクトさなど他にはない強みが多いので、今後も活用していくことは変わりませんが。
まとめ
RX0 IIは写真撮影中心であれば、かなりオススメ!!
ここまで紹介してきたようにRX0 IIの写真は非常に描写力が高く、手軽に持ち歩けるのでかなり満足しています。ネックストラップなどで首から下げていても重くなく、邪魔にもならないので子どもとのお散歩に持ち歩いています。カメラとしての評価は非常に高いです。
その形状からどうしてもGoProと比較されてしまうので動画撮影の欠点が目立ってしまいますが、「持ち運びに便利な高級コンデジ」とみればかなりアリ、むしろ唯一無二の個性を持った素晴らしいカメラだと思います。
写真が好きで、コンパクトでも描写力の高いカメラを探している方はぜひ、「RX0 II」をご検討ください。
以上、ヨッシーでした。